【本日のアゲ本】ボルドーワインのような女になろう

『フランス人は年をとるほど美しい』

ドラ・トーザン 著/大和書房

 

歳を取ることはボジティブ?それともネガティブ?

生きている限り、どんどん歳を取っていくことは誰にも避けられない事実です。歳を取ることは、あなたにとってネガティブなことでしょうか?それともポジティブなことでしょうか?もしネガティブに感じているとしたら、この本を一読することをおすすめします。

著者はNHKフランス語講座の講師を務めていたドラ・トーザンさん。フランスはパリ生まれの生粋のパリジェンヌであり、国連広報部を経て同番組への出演がきっかけで日本に住むように。現在は日本とフランスの架け橋となるべく執筆活動やテレビ・ラジオへの出演など多方面で活躍されています。

私たち日本人にはもしかすると信じられないことかもしれませんが、フランスでは歳を重ねた女性のほうが若い女性よりモテるのだそうです。なぜなら、フランスでは人生経験を重ねた深みのある女性のほうが色気と魅力があるとされているから。まるで美味しいボルドーワインのように、正しく年齢を重ねることの大切さを本書では説いています。

パリだけでなく、ベルリン、ロンドン、ニューヨークなど世界各地に住んできた著者は、日本人は特に年齢を気にしすぎる傾向にあると指摘します。雑誌や新聞などで名前の横に年齢を記載するのは、日本特有の文化なのだとか。つまり、歳を取るのは皆同じなのだから、それよりもどう歳を重ねるか、どう今を生きるかのほうが年齢なんかよりも重要ということです。

 

では、正しく年齢を重ねるにはどうすればいいのか。本書ではパリジェンヌ流の心構えを色々と教えてくれていますが、とにかく「自由に生きる。自分らしく生きる。我慢しない。女であり続ける。美味しいものを食べる。愛を忘れない」ことが大切だと言います。

自由に我慢をせずに生きるということは、ただ自分勝手に生きればいいということではありません。常識や他人の意見に流されずに生きる代わりに、自分の行動の結果に自分自身で責任を持つということ。うまくいくこともあれば失敗することもあると思いますが、誰のせいにもしないで成功も失敗も楽しく前向きに捉えることが美しく生きるためには欠かせません。

この本の中で特に印象に残ったのが、フランス人と日本人の違いについての解説です。たとえば、フランスと日本の「幸せ」の定義が真逆ということ。日本人には「和」を大切にする文化があるため、みんなの幸せが個人の幸せに関係してきます。しかし、フランス人は個人の幸せがみんなの幸せにつながると考える傾向にあるため、自分の幸せを追求することが第一となります。まわりのことを気にしてやりたいことを我慢したり、逆にやりたくないことを我慢してやるのはナンセンスだと、著者は言い切っているのです。

 

もしあなたが日本的な常識にとらわれているのだとしたら、本書に書かれている事柄はその常識を覆すようなことばかりで、驚きの連続かもしれません。でもきっと、読んだ後には年齢に対する考え方が少し変わり、肩に感じていた重たいものがスッと取り除かれるような、すっきりとした気持ちになると思います。