【エッジーナの名言】 アニータ・ロディック「他者に親切にすれば、必ず大切な人が集まってくるわ」

“他者に親切にすること。そうすれば、必ずあなたの周りに大切な人が集まってくるわ”

ーーアニータ・ロディック

アニータ・ロディック(1942-2007)

実業家

 

夫が単身赴任で不在の間、生活するために起業

アニータ・ロディックはイギリスの女性実業家。

日本でも有名なコスメブランド「THE BODYSHOP(ザ・ボディショップ)」の創設者です。

1942年、アニータはサセックス州リトルハンプトンで、イタリア移民の家庭に生まれました。彼女の母はカフェを経営している人物で、幼い頃から経営者としての母を尊敬していました。

 

大学を卒業すると、彼女は英語と歴史の教師として勤めたのち、イスラエルで教育に携わったことをきっかけに、世界旅行をして様々な文化や人々とのふれあいを経験。そして1970年、友人の紹介で知り合ったゴードン・ロディックと結婚。夫婦でレストランを開業します

1976年、夫がアメリカに単身赴任している間、娘二人を食べさせるために起業を決意。自然原料をベースにした化粧品を製造・販売するザ・ボディショップを開業し、1号店をリトルハンプトンに開店します。

 

オーガニック化粧品のリーディング企業として急成長

自身が主体的に経営を行うことは初めてでしたが、夫からの「週に300ポンド売り上げろ」という助言を達成すべく、他にはない優れた商品とサービスを提供することに全力を尽くしました。

はじめは、たった15品の化粧品からのスタートだったそうですが、オーガニックな化粧品は当時はまだ珍しく、彼女の店は順調に繁盛。6ヶ月後には2号店をオープンし、ゴードンも帰国後にビジネスに加わります。

夫婦ともにビジネスの才覚があり、フランチャイズ経営も軌道にのったことで、1991年には支店が700店舗に増えるほどの急成長を遂げるのです。

 

環境問題や社会格差に取り組む姿勢が、世界トップブランドに押し上げた

アニータは世界中を旅する中で、使いきれないほどモノを買い、何度も容器を捨てる大量消費社会に疑問を持っていました。

そこで彼女が掲げたミッションは「社会と環境の変革を追求しながら事業を行うこと」。自然由来の成分にこだわる、自社製品の動物実験をしない、容器のリユースを促進するために商品の量り売りを行う、フェアトレードで原材料を購入するなど、当時としては画期的な施策を次々と打ち出し、世の中に広めていったのです。

幸いにも、世界は環境問題や社会格差が問題視され始めたタイミングであり、彼女の思想はまさに時代の流れに乗ったものでした。2004年までに1980店舗をもち、のべ77億人に商品を販売。ザ・ボディショップは、世界の28のトップ・ブランド中、イギリスで最も信頼できるブランドの2位に選ばれる栄誉を手に入れたのです。

 

売却後は、人権保護や児童福祉の活動に奔走

アニータは事業と平行して環境活動と児童福祉活動にも熱心に取り組んだ人物です。

2001年には国際キャンペーンに加わり地球温暖化への警鐘と、再生可能エネルギーの促進を世に訴えました。こうした功績から、2003年にはデイムの称号を授与。

そして、2006年3月、ザ・ボディショップはフランスのロレアルグループに約6億5200万ポンドで買収されました

アニータは取締役に残りながら、多国籍企業による搾取労働の防止や、黒人の政治活動家の人権保護活動などに専念。2007年に自らがC型肝炎患者であることを公表した後も、C型肝炎患者の支援活動や政府への対応強化を求めるロビー活動に奔走しました。

しかし同年9月10日、脳内出血のため、夫と2人の娘に見守られながら息を引き取ったアニータ。世界各地から弔いの言葉が寄せられ、当時のイギリス首相も最大限の賞賛と弔辞を述べました。

 

経営者として多大な成功を収めながら、常に世の中の人々のために奔走していたアニータ。

ザ・ボディショップではアニータ・ロディックの生誕日である10月23日を「アニータ・ロディック デー」と題して、地域に根ざした活動を強化する日にするなど、彼女の意志は多くの人たちに受け継がれ、今も世界に影響を与え続けているのです。