『サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功』

アリアナ・ハフィントン 著／メディアハウス

 

「お金」も「権力」も手にした著者が気づいた「本当の幸せのカタチ」

世界的ニュースサイト「ハフィントンポスト」の創業者であるアリアナ・ハフィントン。一大サイトを築き上げたバリバリのキャリアウーマンで、がむしゃらに働き続けたことで「お金」も「権力」も勝ち取ります。しかし、2007年にアリアナさんは仕事中に倒れ、デスクに頭をぶつけて血だらけ。鎖骨を骨折する重傷を負います。原因はいうまでもなく過労でした。

この一件をきっかけに、これまでの人生でお金と権力を追求して生きてきたけれど、そんな私は本当に幸せなのか？と自分を見つめ直すようになります。その思索の結果生まれたのが、「サード・メトリック」という価値基準。お金や権力ではない「第３の価値」を手に入れることが本当の幸福であり成功なのだと、そんなことを本書では提言しています。

では、サード・メトリックとはなんでしょうか？アリアナさんは下記の4つの柱に分けてサード・メトリックを整理し、それぞれで追求すべきことと、実行する方法を紹介します。

Part1 WELL-BEING（幸福）

Part2 WISDOM（知恵）

Part3 WONDER（不思議と驚き）

Part4 GIVING（与えること）

たとえば、「WELL-BEING」の実行については、瞑想によるマインドフルネスを追求すること、デジタルデバイスと適切な距離を置くこと、睡眠をしっかりと取って頭脳明晰な状態を保つことなどが挙げられ、心身を健康な状態に保つことを説きます。

次に「WISDOM」の実行では、人生で必要な知識、人生の不思議さについて哲学者や作家の言葉を引用しながら、ときに自らの体験を織り込み、さまざまな逸話を例に出しながら、示唆に富む見解を教えてくれます。最後はボランティアなど社会貢献の実践を推奨し、思いやりの心をもつことで「第三の価値」は完成するものであるとしています。

著者は成功の再定義を、「実践されてこそ、その価値が生まれます」と述べます。つまりすべては私たちに委ねられているのです。

ひとつ、著者の至言を紹介しておきます。

「変化は今すぐ、自分で起こせる。その出発点は無数」

今の生活にどこか違和感を感じていたり、「このままでいいのかな？」と悩んでいる方は、ぜひとも本書を読んで、変化を起こす出発点を手にいれていただければと思います。