【本日のアゲ本】大切なのは言葉ではなく自分の気持ち

『気持ちを言葉にできる魔法のノート』

梅田悟司 著/日本経済新聞出版社(2018年)

 

言葉が上手になる必要なんてない

著者の梅田悟司さんは、誰もが知っている数々の宣伝文句を生み出した人気コピーライターです。コピーライターとしての仕事術をまとめた『「言葉にできる」は武器になる。』を2016年に出版し、一躍ベストセラー作家になりました。本書はベストセラー『「言葉にできる」は武器になる。』の実践編になります。

言いたいことがあるのに、うまく言葉にできない。考えていることが伝わらない。コミュニケーション能力に自信がない女性ほどそういった悩みを抱えがちです。悩みを解決するため、ボキャブラリーや知識を増やそうと努力している女性もいるでしょう。ですが、どんなに知識が増えても肝心な「自分の気持ち」が抜け落ちてしまっていたら、一番伝えたいことは相手に伝わりません

私たちは、さまざまな場面で気持ちを抑圧することを強いられています。たとえば子どもの頃から「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と親に言われ、甘えたい気持ちを抑えてきた女性は多いでしょう。

また、社会人にでれば気持ちを重視してもらえる場面などほとんどなく、理不尽なことでも嫌々飲みながら仕事をしている人がほとんどでしょう。たしかに感情は誰彼かまわずぶつけていいものではありません。ですが、あまりにも気持ちを抑圧することに慣れてしまうと、自分ですら自分の本当の気持ちがわからなくなってしまいます。

 

本書では、自分の気持ちを抑圧してきた人が「気持ちを言葉にする」ための方法が提示されています。具体的には、言葉を「内なる言葉(=考える・感じる)」と「外に向かう言葉(=話す・書く)」にわけることで、自分の中に生まれた内なる言葉を、外に向かう言葉につなげる方法が紹介されています。

たとえば、「仕事をやめたい」という自分の気持ちに気付いたとしましょう。これが内なる言葉です。まずはこの内なる言葉を書き出し、「なぜ?」「本当に?」と考えを深めていきます。考えを深めるなかで、「キャリアアップのためだと思っていたけれど、本当は職場の人間関係がやめたい原因かも」と気付くかもしれません。その深めた考えを組み合わせ、外に向かう言葉につなげていくのが「気持ちを言葉にする」方法です。たったこれだけのことを繰り返すだけで、どんな状況でも自分の気持ちを言葉にすることが容易になります。

 

気持ちを抑圧されやすい社会だからこそ、自分だけでも自分の気持ちを大事にして、それを人に伝えてみたい。そんな気持ちにさせてくれる1冊です。