さて唐突ですが、次に挙げる職業に共通する…
【エッジーナの処方箋】 「イライラ」を制する女性がビジネスも制する。アンガーマネジメント実践術
ストレスの多い現代社会で、イライラを完全にコントロールすることは難しい。特に仕事と真剣に向き合い、バリバリ働くキャリアウーマンこそ、旧態依然とした男性社会のルール、上司やクライアントからのパワハラ・セクハラ、同僚女性からの嫌がらせなど、イラっとする場面に出会うことが多いかもしれません。
でも、もしかするとその「怒り」。あなたのキャリアアップを妨げているかもしれないのです。少し前に、肥満の人や喫煙者は出世できないという説が話題になったことがありますが、今やアメリカでは「すぐキレる人は出世できない」という説のほうが定着しつつあるのだとか。
怒りはやる気やモチベーションの起爆剤になることもありますが、逆に怒りから来るストレスに振り回されると、仕事のパフォーマンスは大きく低下してしまいます。さらに、怒りを抑えきれずに周囲の人たちに強く当たってしまうと、職場の人間関係がこじれたり、周りから疎まれたりと、仕事を円滑に進めるうえで不利に働くことも多いのです。
そこで、ぜひとも身につけておきたいのが、怒りを上手にコントロールする「アンガーマネジメント」。
「怒り」との向き合い方ひとつで、仕事のパフォーマンスは大きく変わります。今回は、「怒り」を利用して強みに変えるアンガーマネジメント術を紹介します。
目次
- 怒りは「コップの水」と一緒!?
- 自分の「怒りスイッチ」を知るアンガーログ
- 「魔の6秒」をコントロールすべし!
- 怒りはアウトプット次第で武器になる!
1.怒りは「コップの水」と一緒!?
そもそも、人はなぜ怒るのか――。
「怒り」とは、専門用語でいうと「防衛感情」です。生き物は敵が現れたとき、アドレナリンを分泌して体を緊張・興奮状態にして、相手を襲うか逃げるかの究極の判断をします。そのときに命令を体に下すのが、「怒り」という感情。生存本能に組み込まれたとても原始的なものだから、これをなくすことはできません。
とはいえ、現代では命の危険に晒されることはまれですから、そこまで強い怒りは必要ないはず。それなのに、激しい怒りを抑えられない人がいるのはなぜか。理由のひとつとして、怒りに対する耐性の差があると考えられます。
心の中にコップがあると考えてみてください。そこにいろんなネガティブな感情がたまって、いっぱいになると怒りとなってあふれ出す。これが怒りのメカニズムです。
人には、誰にでも「こうであるべき」と信じていること(=コアビリーフ)があります。例えば「人には敬意を払うべき」というコアビリーフを持つ人が、あまり親しくない同僚から軽口を叩かれ続けると、「悲しい」「心配」「苦しい」といった怒りの前段階の感情がたまっていきます。その想いがコップ(=怒りの許容度)を超えると、「いい加減にして!」と怒りが爆発してしまうのです。
2.自分の「怒りスイッチ」を知るアンガーログ
怒りをコントロールするには、まずは自分の怒りの構造を知ることから始めることが大切です。つまり、自身のコアビリーフが何なのかを理解する。
そのための効果的なエクササイズが「アンガーログ」と呼ばれるものです。「今日は怒ってしまったな」と思ったら、メモ帳などに以下の項目を書き出しておくのです。
・怒った日時、場所
・怒るきっかけとなった相手や出来事
・怒る原因となった自分の価値観
・その時の自分が考えたこと
・10段階での怒りの強さのレベル
・怒ることで起こった結果
このアンガーログを繰り返していくと、自分の怒りの構造がわかるようになってきます。そうすると、怒りの衝動が起こったときに、いちど冷静な頭で分析する癖が身につきます。
3.「魔の6秒」をコントロールすべし!
次に知っておくべきは、ついついカッとなってしまった時に一時的に怒りの感情をクールダウンさせる方法です。怒りに振り回された言動が何かプラスの結果をもたらすことはあまりありません。そのため怒りを効果的に活用するには、最初に怒りを感じた時にその感情をクールダウンさせる方法を身につけておく必要があるのです。
その際に頭に入れておきたいのが、怒りのピークは6秒程度というもの。この6秒を制することが、怒りをコントロールする重要なポイントとなります。
・6秒間、頭を真っ白にして思考停止状態にする
・6秒間、怒りに満ちている自分の心を実況中継する
・スマホや本など、自分の注意をそらすツールを活用する
・6秒間、口角を上げて笑顔をつくる
シリアスな状況でいきなり笑顔になられたら相手にとってはある意味恐怖かもしれませんが・・・6秒間の対処方法は人それぞれですので、ここでは自分に合った方法を身につけることが大切でしょう。
4.怒りはアウトプット次第で武器になる!
衝動的な怒りをコントロールできるようになったら、いよいよ怒りをうまく活用する実践法です。まず、その感情をアウトプットするのかしないのかの判断をし、アウトプットするとすればどのようにするのかを考えます。この時の重要なポイントは「原因より目標、過去より未来について怒る」こと。
「どうしてそんなミスをしたのよ!」と原因や過去について怒っても、相手にとっては責められているようにしか感じられません(そういう指導が必要なケースもありますが)。
そこで、「ミスをしたことはいいから、この損失をどう回収するか考えて!」と次の目標やアクションについて言及したり、「将来あなたの部下が同じミスをした時のために、今回のことからきちんと学んでね!」と未来について言及すれば、怒られた側もどうすればいいのかが理解しやすくなるでしょう。きちんと怒りを伴った言葉だけに、相手も真剣に受け止めてくれるはずです。
これを実践するためには、怒りを語る時は「今度から」を前置きにする癖をつけるのが効果的です。この前置きが先に口に出てしまえば、そのあとは目標や未来についての言葉にせざるを得なくなります。
「怒り」という感情そのものが悪であるかのように言われることは少なくありません。しかし本当に悪いのは怒りの間違った使い方なのです。正しい使い方を知ることができれば、怒りは仕事のパフォーマンスを飛躍的にアップさせる心強い武器となります。まずはここで提案したアンガーマネジメント術を実践することから始めてみてはいかがでしょうか?