【本日のアゲ本】自分にとっての「正しさ」を一度見直してみませんか

正義の教室 善く生きるための哲学入門

飲茶 著/ダイヤモンド社(2019年)

 

2020年は哲学女子ブームがくる!?

 

これまで男性の領域だと思われていた分野に進出する女性が増えています。歴女、カープ女子、リケジョなどはその好例でしょう。「〇〇女性」が増え続けるなか、今年流行るのではないかと個人的に予想しているのが「哲学女子」です。

 

哲学といえば「難しそう」「実生活に役立たなそう」というイメージがつよく、女子受けも悪いというのがデフォルトでした。しかし、最近風向きが変わってきているのではないかと感じます。たとえば、哲学的なテーマについて対話する場である「哲学カフェ」は全国でじわじわとブームになっており、女性の参加者も多く見られます。もはや、哲学は一種のムーブメントになってきているのです。

 

「日常生活に哲学的思考を取り入れたい」「哲学に興味はあるけれど、なにから手をつければいいのかわからない」そんな風に思ったら、まず読んでいただきたいのが本書です。30人の幼児と自分の娘、どちらを助ける?」というショッキングな問いかけからはじまる本書は、「正義」という重い題材をライトノベル風のストーリーに仕立てた哲学入門書です。いじめによる生徒の自殺をきっかけに学校中に監視カメラを設置することになった私立高校を舞台に、異なる正義を持つ3人の女子高生のかけ合いから「正義の正体」をあぶり出しています。ソクラテスやニーチェ、フーコーといった哲学の大家たちの思想もわかりやすく解説されているので、哲学史の流れを知りたいという方にもうってつけの入門書となっています

 

先行きが見えないいまの時代、誰にでも通用する答えや正しさなんてありません。だからこそ、本書をきっかけに「自分にとっての正しさ」を一度見直してみませんか