『幸せをつくるシゴト』 山川咲著/講談社…
【始めたエッジーナに聞く30のこと】 末期がんを乗り越えて。私は「香り」と生きることにした
変化とは、恐れずに最初の一歩を踏み出すこと。
そうでなければ、変化は起きません。
これは、アメリカで「公民権運動の母」と呼ばれる黒人女性ローザ・パークスが遺した言葉です。
黒人への人種差別が横行していた時代、ローザがバスで白人に席を譲るのを拒否して逮捕されたことがきっかけで公民権運動に火がつき、人種差別の根絶に向けて人類が歩みを進めることになりました。
たった一人の女性が恐れずに踏み出した一歩が、歴史を動かした。
彼女は人権運動に参加していましたが、決して特別な才能を持った人間ではなく、普段は子育てをしながら百貨店で働く主婦でした。
現代にも、ローザ・パークスのように新しい一歩を踏み出したエッジーナがたくさんいます。何かを始めることは、とても勇気がいること。始めない理由だっていくらでも作れます。
始めたエッジーナを行動に駆り立てたものとは?
どんな人生経験がエッジーナのマインドを作っているのか?
本コーナーでは、始めたエッジーナへの30の質問を通して、一歩を踏み出せずにいる全ての女性に人生を変えるためのヒントをお届けします。
始めたエッジーナ
谷内里佳さん(英国IFPA認定 アロマセラピスト)
谷内さんは英国IFPA認定資格を持つアロマセラピスト。
英国IFPA認定資格とは、国際ライセンスとして認められているリラクゼーションやストレスケア、美容、健康維持、疲労回復に役立てることができるアロマセラピーの技能を認定する資格。
トリートメント実技のほか、精油の化学組成や理論、病理学、解剖生理学の知識も必須で、世界でも最難関と言われている国際資格です。
谷内さんは現在、資格を活かして医療機関に従事するほか、2019年11月に東京・青山にオープンしたリストアサロン「It Girl Tina AOYAMA」の専属セラピストとしても活躍されています。
今でこそアロマ一筋の谷内さんですが、実はアロマセラピーを本格的に始めたのは30代半ばからでした。そこにはどんな転機があったのでしょうか?
まずは彼女のこれまでの人生を追ってみましょう。
芸術一家に育てられて。書道の道に進むのが当然だと思い込んでいた
谷内さんは東京生まれ。親族に絵描きや陶芸家がいる芸術一家に育ち、親戚にはあの表参道のモザイク壁画で有名な谷内六郎さんがいました。
“Harajuku” by Guilhem Vellut is licensed CC BY-SA 2.0
幼い頃から教育熱心な祖母のもと、芸術の教養や勉学を厳しく教わっていたそうです。その中でも熱心に取り組んでいたのが書道。
将来は習字の先生になるのだと、当然のことのように信じて、一心に書道を学ぶ日々が続きます。
しかし、思春期になると「自分の道はこれじゃない」と薄々感じ始めた谷内さん。そして、15歳のときに思い切って書道の道を諦めると、そこからは解放されたようにサッカーやマリンスポーツにのめり込んでいきます。
その後、興味を持った百貨店や医療関係の仕事に励みながら、スポーツを楽しむなどして充実した人生を過ごします。
生死を彷徨った病床で気づいた、私が本当にやりたかったこと
しかし、思いもよらぬ転機が訪れたのは30代半ばのこと。
突然、腎臓の病気が発覚して緊急入院し、そこから入退院を繰り返す闘病生活が始まります。順調だった仕事を休みがちになるだけでなく、大好きだったマリンスポーツも一切できなくなりました。
そんな谷内さんに追い討ちをかけるような出来事が訪れます。それは、末期がんの余命宣告。これもまた、突然のことでした。
いきなり普通の日常生活が送れなくなり、死の淵に立たされる。しかも、抗がん剤治療はとても苦しく、肉体的にも精神的にも辛い日々が続きます。
その中でも、唯一の救いとなったのが、昔から趣味で続けていたアロマオイルでした。
抗がん剤治療の副作用で気持ち悪くなったとき、試しにアロマオイルで心地よい香りを嗅いでみると、驚くことにどんどん苦しさが緩和されていきました。
さらに、入院先の同じ病室の人たちも癒されると喜んでくれたのです。
そうか、私が本当にやりたかったことは「香り」だ。
生死を彷徨った病床でそのことに気づいた彼女。奇跡的に一命をとりとめて無事に退院します。がんは克服したものの、腎臓の病気は一生付き合っていかないとならないものでした。しかし、谷内さんは「それも自分の人生だ」と受け入れ、新しい人生をスタートすることを決意します。
すると早速、彼女はアロマオイルの勉強に時間もお金も全力投資して、一心不乱に学びます。そして、世界最難関とされるイギリスのIFPA認定資格を見事に取得。メディカル視点を持ったアロマセラピストとしてのキャリアが始まりました。
そんな彼女ですが、最近とても嬉しかったことがあったと言います。それは、新しくオープンしたリストアサロン「It Girl Tina AOYAMA」のビジネスパートナーに、「あなたの香りは芸術だ」と言われたこと。
実は、心のどこかで「自分には芸術の才能がない」というコンプレックスをずっと抱えて生きていたそうです。
私にとっての芸術表現は、香りだったんだ。そう気づかされた彼女は、今では「香りは私そのもの」と断言するほど、香りとともに自分らしく、1日1日を大切に生きています。
谷内さんの30の回答には、今やりたいことに踏み出せないでいる女性の背中を押してくれるようなエッセンスが詰まっています。ぜひご覧ください!
【始めたエッジーナに聞く30のこと】
- 子どものころの夢は?
習字の先生。祖母に習わされて、そのまま15歳まで続けていました。習字から解放されてからは、スポーツと海が人生の楽しみでした。
- 駆け出しのころ役に立ったアドバイスは?
自分のペースで働くこと。
- 仕事場のお気に入りポイントは?
It Girl Tina AOYAMAのインテリアすべて。色や雰囲気、照明、器、ロールオンの容器も。一つひとつがとても心地よいです。
- キャリアや仕事のために払った最大の犠牲は?
お金と時間。
- あなたにとって成功とは?
毎日、身体を健康に保つこと。すなわち、生きることです。
- 自信をなくしたり逆境に陥ったときの立ち直り方は?
アロマの香りを嗅ぐこと。常に持ち歩いている香りはベルガモットです。
- 今の気分にぴったりな香りは?
矢継ぎ早に質問されるようなときのこと?(笑)
ペパーミントとローズマリーですね。ひらめきとアイデアを与えてくれるの。
- 自分らしく好きなことをしようと奮い立たせてくれる座右の銘は?
有言実行。
- 今の仕事を知ったのはいつですか?なぜ惹かれました?
病気をしたとき。心も身体も弱っているとき、助けてくれたのが香りでした。
- 自分の性格でいちばん自慢できるところは?
いつも笑っていることです。
- インスピレーションが必要な時、スランプから脱出したい時の特効薬は?
香りです。毎回調合して作っています。
- 長い1日の仕事を終え、家に帰ってから楽しみにしていることは?
もちろん、香りです。いつも直感で選びます。私、失敗したことがないんですよ(笑)
香りのインスピレーション?私の場合は、視覚に入ってくる情報が多いです。お客さまに施術するときは、やはりその方自身から私が感じ取るものを大切にしています。マニュアルやガイドラインで作る香りは私の香りではないので。
- 夜眠れなくなるような不安や悩みはありますか?
毎日あります。今も薬を飲み続けているし、本当にいつ何があるかわからない。当たり前の寝て起きて食べる生活が幸せです。1日1日、生きていることに感謝しています。
- 仕事で経験した最大を成功や誇りは?
人に喜ばれたこと。
- 仕事で経験した最大の困難や壁は?
身体を壊したこと。
- あなたのモットーは?
「パーソナル」
身体の内側も外側も、誰一人として同じ人はいない。それぞれの味があります。
- 憧れの、あるいは尊敬する女性は誰ですか?
ビジネスパートナーの駒津さん。良い意味で私と真逆なので、お互いに足りないところを補えます。なによりも、私の香りを必要としてくれていることが嬉しいです。
- ミスから学んで成功につながったことはありますか?
はい、たくさんあります。
- 1日のよいスタートを切るために、朝一番にすることは?
肩甲骨を寄せること。
- 100億円もらったら、仕事を変えますか?
変えません。やりたいことができるので。
- あなたを奮い立たせる食べ物や飲み物は?
お肉。
- これがなくてはやっていけない道具やモノや儀式はありますか?
アロマ。
- 自分がやりたいことに気づいたのはいつ、どこで?
病気をして、病床で抗がん剤治療を受けているとき。気持ち悪くなったとき、ペパーミントを嗅いだらスッと苦しさが緩和されました。本当に心から救われました。
- 10年前の自分に教えてあげたいことは?
なんとかる。
- 1日があと3時間増えたら何をしますか?
寝ます。
- 世の中にあってほしいものは?
平等。
- 世の中に減ってほしいものは?
非常識な人。
- これから自分と同じビジネスに携わる人にすすめたい備えは?
人と向き合うことです。それができない人は施術をすべきじゃないと思っています。
- 今の自分から見て、駆け出しのときこうすればよかったと思うことは?
何事も先延ばしにしないこと。
その時にやりたい、やらなきゃと思ったことは今すぐやるべき。
明日生きているかなんて誰にも約束されていないのですから。
- あなたにとっての「自分らしさ」とは?
香りそのものです。
「やりたい、やらなきゃと思ったことは今すぐやるべき」
「当たり前の寝て起きる生活があることは幸せなこと」
「自分らしさは香りそのもの」
余命を宣告されるという極限の状態に一度陥ったからこそ、今ある1日1日の貴重さに気がついた谷内さん。確かに彼女の言うとおり、明日生きていることは誰にも保証できません。死ぬとまで言わなくたって、同じ生活が明日も続くとは限らないのです。
一度きりの人生を後悔しないように、やりたいことは今すぐ始めるべき。そんなメッセージが、彼女の生き様から学ぶことができるのではないでしょうか。
谷内さんが働く毎週金曜日だけトリートメントサロン「It Girl Tina AOYAMA」の情報はこちらをご覧ください↓
It Girl Tina Instagram
https://www.instagram.com/itgirltina/?hl=ja
It Girl Tina 公式サイト