【エッジーナの名言】  サンドラ・オー「私は大声で騒がない。地道に努力すればいつか認められると信じてるの」

“私は大声で騒がない。地道に努力すればいつか認められると信じてるの”

ーーサンドラ・オー

サンドラ・オー(1971-)

女優

 

サンドラ・オーはアジア系ハリウッド女優として最も成功を収めている人物。数々の輝かしい賞を受賞し、2019年の第76回ゴールデン・グローブ賞ではアジア人初の司会を務めるとともに、主演女優賞を受賞したことで大きな話題となりました。

 

彼女の出身はカナダ。移民した韓国人の両親の元で育ち、幼い頃からバレエと演技のレッスンを受けていました。10歳の頃には舞台に出演し、次第に演技の道を志すように。モントリオールにある国立演劇学校を卒業すると、カナダやアメリカのテレビドラマに出演し始めます。

やがてロサンゼルスに移住し、1996年から2002年まで全7シーズン放送されたコメディドラマ『Arliss』のレギュラーメンバーに抜擢。主役アリスのアシスタント役を演じ、そのコミカルな演技で評判となりました。

そして、本格的にブレイクしたのは2005年のこと。ABC局のテレビドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』のクリスティーナ・ヤン役が高い評価を得て、同年のエミー賞助演女優賞候補、2006年にはゴールデン・グローブ賞テレビ部門助演女優賞、全米俳優組合賞テレビ部門女優賞などを受賞し、その名は全米に広く知れ渡ります。

ブレイクしたとはいえ、ハリウッドでは脇役を演じることが多かった彼女。しかし、2008年にBBCアメリカのテレビドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』で遂に主役に抜擢されるのです。いまだにハリウッドでアジア系の女優が主役になることは珍しく、少し前に日本でも議論となった、白人以外の役柄を白人が演じる「ホワイトウォッシュ」の問題も度々起きています。

こうした背景もあり、サンドラさん自身も初めは自分が主役をやるとは思っておらず、脚本を読んで混乱してしまったのだとか。それくらい、ハリウッド業界には人種差別の文化が当たり前のように根付いている自分自身も含めて。と、サンドラさんは後になってから回想しています。

このドラマで迫真の演技を見せた彼女は、並み居る実力派女優たちを抑えて、自ら司会も務めた第76回ゴールデン・グローブ賞でドラマ部門の主演女優賞を受賞。この快挙は、1980年にドラマ『将軍 SHOGUN』で主演女優賞を受賞した島田陽子さん以来、アジア人女性では39年ぶりの出来事となりました。

司会ではウィットに富んだ軽快なトークで聴衆を笑わせていた彼女ですが、自身の受賞スピーチでは一転して神妙な面持ちに変わり、声を震わせながらこのように語りました。

 

「今夜、司会者としてこのステージに立つというオファーに不安を覚えながらもイエスと返事をしました。このステージから客席を眺めたとき、“変化”の瞬間を目の当たりにしたいと願っていたからです。今、私には確かな変化が見えています。来年はまた状況が変わってしまうかもしれない。でも今、この瞬間は本物です。私には変化の証である、あなたたちの顔がはっきりと見えています。そして、きっと、皆さんにも見えているはずです。アッパ、オンマ、サランヘヨ(お父さん、お母さん、愛してる)」

この授賞式の様子をテレビ放映していたカメラは、客席にいる様々な人種の女優や俳優を映し、ハリウッド業界が白人だけでなく、多種多様な人種によって成り立っているものであることを表現しました。

サンドラさんが述べたように、映画界にはまだ人種差別の問題が深く根付いていますが、少しずつ変化の兆しが現れているのもまた事実。努力の積み重ねでトップにたどり着いたことで、多様性のある未来に間違いなく貢献しているのだと感じさせる。とても感動的なワンシーンでした。