【本日のアゲ本】ネタ、コネ、専門性がなくても「バズる文章」は書ける

『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』
三宅香帆 著/ サンクチュアリ出版(2019年)

「バズる文章」とは、読んでいて楽しい文章のこと

ブログやSNSの隆盛で、誰もが気軽に情報を発信できるようになりました。だからこそ、たくさんの人に拡散されるような「バズる」文章と、そうではない文章の違いも著しくなっています。

「もっと人に読まれる文章が書きたい」と思っている女性におすすめしたいのが、「バズる文章」の書き方を教えてくれる本書です。バズる文章というと、特殊なネタやおもしろい経歴があったり、人が知らない専門知識などをもっていないと書けないと思うかもしれません。ですが、書き手の経歴やネタに頼らずとも、本書に書かれた「読んでいて楽しい文章の法則」を知るだけで、バズる文章の書き方を知ることができます。

本書では、著名人の文章に隠された「バズる仕掛け」が紐解かれています。たとえば、女性に大人気の占い師・しいたけさんは、なぜ雑誌でコラムを連載するほどの人気占い師なのか。それは、しいたけさんが超一流の文章が書ける占い師であるからだ、と著者の三宅さんはいいます。

しいたけさんの文章力は、日常ブログにも発揮されています。たとえば、とある先生の合宿に参加した時のブログでは、冒頭で「合宿ってポロリが多いんですよね」とインパクトのある言葉が投げかけられています。読者は「ポロリ」という言葉にひっかかり、なにを意味するのかが知りたくて最後まで読んでしまう。この誘引力こそ「バズるつかみ」であり、最初にあえて「刺激的かつ意味不明な言葉」を放り込むことの効果なのです。

また、片づけのプロとして有名な「こんまり」こと近藤麻理恵さんの文章にもバズる仕組みが隠されています。『人生がときめく片づけの魔法』は累計1100万部を超える世界的ベストセラーとなりました。この本はなぜここまで売れたのか。それは、読むと片づけが超簡単だという気にさせられるほど文章に説得力があるからだといい、こんまりさんの文章には「想定される反論の、フォローを先回りする」というルールが徹底して守られていると解説されています。

ほかにも、星野源さんや林真理子さん、阿川佐和子さんなど、名だたる著名人の文章に隠されたバズる仕掛けが紹介されています。日ごろブログやSNSに投稿しているものの、自分の書いた文章にいまいち自信がもてないという方は、ぜひ本書を読んでバズる文章に秘められたテクニックに触れてみてはいかがでしょうか。