『大好きなことだけして生きていく大人の女…
【本日のアゲ本】売上ではなく「仕組み」で人を幸せにする方法
『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』
中村朱美(佰食屋) 著/ライツ社(2019年)
「仕組み」で人を幸せにする女性経営者の働き方改革
これまえ、働く女性にストレスは付き物とされてきました。
働き方改革が施行されても一向に変わらない長時間労働、フルタイムの仕事と家庭の両立。やってもやっても終わらない仕事や家事に追われる日々を過ごしている女性も多いでしょう。
けれどもいま、多くの女性が気づきはじめています。「生活の大半を仕事に費やすいまの働き方は、持続不可能だ」と。
仕事ややるべきことに追われて、家族と過ごす時間や自分の時間がまったく取れない。毎日を丁寧に過ごしたいのに、花瓶に花を活けるゆとりさえ持てない。
こんな生活が続けば、たとえ収入が人並み以上にあっても幸せだとは思えないでしょう。
残業ゼロで、業界水準以上の給料を実現
そんな働き方に悩める女性にひとつのヒントを授けてくれるのが本書です。
著者の中村さんは飲食店の女性経営者。2012年に夫とふたりで「佰食屋」という国産牛ステーキ丼専門店をオープンさせました。
佰食屋は連日行列のできる超人気店でありながら、残業時間はゼロ。なのに従業員の給料は業界水準以上となっています。
残業が当たり前、重労働だといわれる飲食店において、佰食屋が「残業ゼロ」を実現できたのは、あえて売上を追いかけていないからだそうです。
営業時間は11時から14時半のランチタムのみ。どれだけ売れても1日100食限定で、メニューも年中同じ。
「これ以上は売らない」「これ以上は働かない」とあらかじめ決め、時間内で100食を売り切り、残りの時間を好きなように使うというのが佰食屋が提唱する働き方です。
経済成長に変わる、ひとつの答え
これまで多くの企業では、会社を存続させるために利益を追求し、売上を更新し続けなければなければならないという「業績至上主義」を掲げてきました。
けれども、かつてのような経済成長が望めない現在の日本では、「経済成長」に変わる新しい価値観の提示が求められているのかもしれません。
売上を追求することは決して悪いことではありませんが、その歪みに苦しんだり疑問を感じている人たちの受け皿となる働き方が十分に整備されていないのも事実。
「業績至上主義」という既存の価値観を疑い、売上ではなく仕組みで人を幸せにしている中村さんは、新しい時代のエッジーナとも呼ぶべき改革者です。
中村さんのように、「人を幸せにする働き方」を実現するエッジーナが次々に誕生することを願ってやみません。