【エッジーナの名言】 ジャンヌ・ダルク「一度きりの人生。それが私たちのすべてだ」

“一度きりの人生。それが私たちの持つ人生のすべてだ。”

――ジャンヌ・ダルク

 

ジャンヌ・ダルク(1412-1431)

戦士

 

フランス史上最も有名な女性と言ってもいい聖人ジャンヌ・ダルク。若干17歳で軍を率い、イギリスとの100年戦争で危機的状況にあったフランスを奇跡的な勝利に導いた英雄です。

 

ジャンヌ・ダルクは小さな村の農村の生まれ。普通の女の子として育っていましたが、12歳の時に「フランスの救世主となるのだ。シャルル王太子をフランス国王にするのだ」という神からのお告げを聞きます。

普通の農家の人間で文盲だった自分に何ができるのかと悩みますが、一度だけの人生を神からの使命に従うことを決意。17歳になると田舎を旅立ち、様々な手を使ってシャルル王太子との謁見に成功。神の啓示のことを伝えます。

すでにあらゆる手を尽くしていたシャルルは、ジャンヌ・ダルクの熱意と神の啓示に賭けて、異例の待遇でジャンヌ・ダルクをフランス軍の指揮官に抜擢。しかも、すでにイギリス軍に包囲されて崩落寸前だった「オレルアン」での戦いを命じます。

ジャンヌ・ダルクは驚くほどのリーダーシップを発揮して戦士たちを統率すると、自ら負傷しながらも前線で戦士たちを鼓舞し続け、軍の士気は急上昇。わずか1週間程度でオレルアンの包囲を解放し、この勝利を機にフランス軍はイギリス軍との戦いに次々と勝利。奇跡的な勝利を讃え、彼女は「オレルアンの乙女」と呼ばれるようになりました。

この見事な逆転劇によってシャルル王太子は無事にフランス国王に即位。しかし、1430年に敵対していたブルゴーニュ公国軍に捕虜として捕らえられると、身柄をイギリスに引き渡され、「女なのに戦場で戦った」「男装した」「聖職者でもないのに神の声を聞いたと言った」などの理由で宗教裁判にかけられてしまいます。最終的には当時最も重い刑である火刑に処され、19歳で短く濃い生涯を終えることになります。

王を救い、国を救ったジャンヌ・ダルクの名誉を守るべく、死後20数年が経ってから復権裁判が行われ、ようやく彼女の処刑判決の無効化が認められます。1920年には法王庁から正式に聖女として列聖され、ローマ・カトリック教会で最も有名な聖人の一人となりました。

田舎の12歳の少女が、一国の命運を背負うのは普通にできることではありません。使命に生きるのだと決めるには、相当の勇気と覚悟が必要だったに違いないでしょう。「一度きりの人生」とはよく聞くフレーズですが、国を救うことを決意してからの彼女の場合はまさに一瞬一瞬に命を燃やしていたのだと思います。