『編集長ぴつこの悩み相談』 オーストラリアに移住したがる彼

私は28歳の会社員です。学生の頃から付き合って10年になる彼氏がいます。とても優しくて男気もあって友達思いな彼のことが今でも大好きです。でも、一つだけ困ったことがあります。

彼は大学卒業後、大手広告会社に勤めていました。激務とパワハラに耐えながら3年働いたあと、退職してオーストラリアへ留学します。1年間ほど遠距離恋愛をしていたのですが、彼はその時にオーストラリアのホワイトな働き方に感動したらしく、オーストラリアに移住すると言い出したのです。しかも海辺の街に住んだせいか、サーフィンにハマって帰国したら髪も髭もモジャモジャで、ヒッピーみたいな姿になっていました。

彼は再びオーストラリアに行く準備をし、永住権を取得するための計画もかなり入念に練っています。でも正直、私は日本で暮らしたいです。オーストラリアに行ったこともあり確かにとても素敵な国でしたが、日本のほうが暮らしやすいしご飯もおいしいです。彼は必ず幸せにするから私も一緒に付いてきてほしいと言っています。でも、彼の本気度を見ると、きっと私かオーストラリアかの二択を迫られたら後者を選ぶと思います。私は彼とずっと一緒にいたいです。もう観念して、日本にサヨナラを告げないといけないでしょうか?

根津「これは人生の重大な選択でしょうね」

ぴつこ「こないだニューヨーク行ったじゃない? あそこで生活しろって言われたら、確かにあたしでも考えるわねー。でも、行ったら行ったでうまくやっちゃうタイプだったりするけど。住めば都と思えるかどうかってことよね

根津「逆に、ぴつこ編集長はニューヨークの街に馴染んでましたよね」

ぴつこ「アンタも分かって来たじゃない」

根津「そう思うと、相談者の方の彼氏はオーストラリアが馴染むんでしょうね」

ぴつこ「このお相手の男性の方、バイタリティが旺盛なのね。新しい環境や変化を楽しめる人って、バイタリティがあって魅力的って思われがちよね。なんだかワイルドで素敵!みたいな。でも、これがお相手となると考えものだわよ。よく捉えれば、これからITの技術も進んでどんどん変化していく世の中が待ってるわ必要なくなる職業ランキング〜 なんてよく見るもの。そうした時代にあってはバイタリティがあればどんな変化も楽しく乗りこなせちゃうという安心感(その裏にはハラハラが付き物だけど)があるものね。逆に悪く言えば、落ち着かない。そりゃー!  オーストラリアだー!  ってなって数年、気づけば新たな刺激を発見して次は電子国家エストニアだー!! なんてこともありゆるわよ。ひとつのところで落ち着きたいタイプの方にとっては迷惑千万、もう勝手にやっとくれということにもなりかねないわ」

根津「では、どうしたらよいのでしょうか?」

ぴつこ「ちょっと考え方を変えてみて、もし、このお相手の方が会社の転勤でオーストラリア支局に異動ってことだとしたらどうなのかしら? その場合は、テンポラリーな、あくまでも一時的なものだからと甘んじるのか、会社の命令だから仕方ないと捉えるのか、はたまた単身赴任でよろしくね! ということになるのか。状況が変わったときにどういう選択をとるか考えてみるのもいいかもしれないわね」

根津「シミュレーションはいいかもしれませんね」

ぴつこ「あと、一生オーストラリア縛りってことなのか、もうオーストラリア人になる勢いのやつね。そうじゃなくてしばらくはってことなのかでも違うかも。もし、お相手の方がオーストラリア人になりたいんだったら黙って見送るしかないんじゃない?笑

根津「永住権取得計画まで練ってる様ですから、彼は帰化する気満々みたいですが」

ぴつこ「でも、このお方はこの先もライフスタイルを変えながら、生き方を進化させて行くような気がするけどね。まずは相談してきた方が新しい環境で住んでみることを試してみたらいかがかしら? そしたら彼のことやオーストラリアのこと、何より自分のことがよく見えてくるのでは?