【実録!ラクして美魔女〜】No.015 ババアの髪型遍歴

みなさんは、髪型はどうやって美容師にオーダーするだろう。私は昔からよく、雑誌の切り抜きや、スクリーンショットの写真を美容師に見せて切ってもらっている。 

若い頃は自分の容姿はさておき、可愛いと思った髪型をやっていた。

唯一の失敗作といったら、映画「フレンチ・キス」のメグ・ライアンの髪型に憧れてショートにしたことだ

まだ、19歳くらいの時である。メグ・ライアンの切り抜きを握りしめて美容院に行き、いつもの美容師さんに切り抜きを見せ「メグ・ライアンにしてください!」と言うと、美容師さんの顔がみるみる曇りはじめ、「あの、髪質が大分違うので同じにするのは難しいけど、大丈夫ですか?」と言ってきたのである。「じゃあ、近い感じでお願い致します!」と言い、セミロングの髪を切ってもらうことにした。

途中、うん?と不安にはなったが、もう後の祭り… 出来上がった髪型は、志村けんがコントの時に被るスポーツ刈りのカツラのような仕上がりだった

まだ、乙女のハートを持ち合わせていた私は半ベソをかきながら店を出て行った。美容師さんを恨む気持ちと、似ても似つかない容姿のメグ・ライアンの髪型にしてくれと言ってしまったことを悔やんだ。

翌日、バイトに行ったらチーター(水前寺清子)と言われ、暫くチーターの愛称で呼ばれた。内心、志村けんのコント用カツラと思われてないことにホッとしていた。

それから、ショートヘアーとは縁遠いものになっていた。無難路線に徹して冒険は避けることにしていた。

だが、最近、面白い美容師さんに出合い、髪型でなりたい自分になるという提案をしてもらい、数十年ぶりにショートにしたのだ。その美容師さんは国民的に有名な俳優やモデルのカットしている方で どういう仕事がしたいのか? 職種は何か? おしゃれに見せたいのか? 男にウケたいのか? 女にウケたいのか? “ というのを細かくヒアリングしてカットしてくれる。

その美容師さん曰く、ショートだから似合わないなどは無く、人それぞれ似合うショートが違うから、それを見極めるのが大事だという。

ただ、男にも女にもウケて仕事もできるような女に見られたいというオーダーは中途半端になってしまうので、自分はどうなりたいかということを絞るのが一番大事だという。

ぶりっ子と言われようが女子全員を敵に回そうが、田中みな実みたいに男ウケしたい! なんて、オーダーは素人の私でも、その人の目指している方向性が明確だが、おしゃれで男にも女にもウケて… となると、パッとは頭に浮んでこない。数分考えたのち思いついたのは映画「パルプ・フィクション」のユマ・サーマン(だいぶ、古いが…)である。しかし、やる人によっては、私のメグ・ライアンの髪型のように、ブルゾンちえみになりかねない。

人は失敗を重ねて、いいものに辿り着く

私は、その美容師さんとの出会いでショート恐怖症から卒業し、要らないものは完全に削ぎ落し、おしゃれなアラフォー女性に仕上げてもらった。今、ふと、尼さんの坊主頭が頭に浮かんだ。おしゃれに見られたいとか男にモテたいとか、そういう邪念がなくなると髪の毛すら要らないと感じるのかも知れないと… それにはまだまだ時間がかかると思うが。