【本日のアゲ本】人生に迷ったら、アリストテレスやアドラーに相談してみませんか? 

『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』 
小林昌平 著/ 文響社(2018年)

 

 将来が不安だからこそ、今この瞬間に熱中して生きよ 

 女性の社会進出が進み、現代女性はさまざまな可能性や選択肢を手に入れました。一方、選択肢が多くなったことで人生の様々な場面において決断を迫られるようにもなりました。結婚はするのか、結婚後はどのように仕事と家庭を両立するのか、子どもは産むのか。ロールモデルなき時代だからこそ、かつてのような「右ならえ」の生き方は通用しなくなっています。 

そんな悩み多き現代女性にぜひ知っていただきたいのが、思考そのものを生業とする哲学者の叡智です。人類は紀元前から同じようなことで悩み、哲学者はその悩みに対して思考で解決してきました。 

 

たとえば、「将来食べていけるか不安」という悩みについて。

現代は結婚しない女性が増えました。経済的に自立したことで、生きるために結婚する必要がなくなったのです。でも、いくら収入が多かったとしても、一人で生きていくとなると将来への不安はつきないでしょう。いつ今の職場を解雇されるか分からないし、病気でしばらくの間収入がなくなってしまうことだってありえます。 

この悩みにすでに答えを出しているのが、古代ギリシャを代表する哲学者アリストテレスです。アリストテレスは将来への不安に対し、「今この瞬間のやりたいことや、やるべきことに熱中せよ」と説きました 

アリストテレスは「将来のための目的を最優先にした行為」を「キーネーシス的な行為」と呼び、「将来のためではなく、今この瞬間に集中する行為」を「エネルゲイア的な行為」と呼びました。そして、息子ニコマコスが編集した『ニコマコス倫理学』の中で以下のように述べています。 

快楽は本来、活動(エネルゲイア)にほかならず、それ自身目的(テロス)なのである 

人はキーネーシス的な行為」こそ将来への不安や心配ごと減らす生き方で、「エネルゲイア的な行為」は将来への不安を増長させるだけだと思いがちです。でも、アリストテレスはその逆だと説きます。エネルゲイア的に生きることで、結果を重視せずにプロセスを楽しむことができる。そうすると、結果的によい結果にみちびかれるというのです。 

たとえば、仕事が楽しくて無心で打ち込んでいたら、結果的に成果が上がり、上司に褒められた経験はありませか? これこそ、プロセスを楽しむことで、結果がついてきたことの好例です。 

 

将来への保証を求めるよりも、自分に向いていると思える仕事や作業に全力で打ち込み、充実した手応えを感じながら毎日を一生懸命生きる。そんな生き方ができていれば、将来への不安は自然と解消されるのではないでしょうか。 

このほかにも、現代女性に通ずる24の悩みに対しニーチェやアドラーといった哲学者、思想家が答えを出してくれています。人生に迷ったときは、哲学者が人生を賭してたどり着いた境地にふれ、悩みを乗り越えるヒントを授けてもらってはいかがでしょうか?