人間とは煩悩の塊である。 けれど、欲、怒…
【本日のアゲ本】シンプルで、上質な暮らしを始めませんか?
『上質なものを少しだけもつ生活』加藤ゑみ子著/ディスカバー・トゥエンティワン
女性が真に美しく生きるためのガイドブック
著者の加藤ゑみ子さんの本業は、インテリア・アーキテクト。「女性が美しく生きるためにどうするべきか」を考えるのもインテリア・アーキテクトとしての役目であると捉え、女性の生き方についての著作が多い方です。
本書では、生活と人生の質の向上のために、「上質なものを少しだけもつ生活」という提言を行っています。加藤さんは、上質なものとは、丁寧に扱われることを前提としているものといいます。上質なものに囲まれることで結果として、美しく、このうえなく贅沢なもの、贅沢な時間、贅沢な空間が作られていくと言うのです。本書はつまり、女性が美しく生きるためのガイドブックとも言えるでしょう。
日々忙しくしていると、上質なものや、豊かなものが欲しくなるときがありませんか? 著者は、そのために一番身近で長くいる住空間を少しだけ贅沢に良質なものに変えることを推奨します。そしてそれは巡り巡って、女性が美しく生きるためにどのようにすればよいのかということにつながるのです。
各章の見出しが、美しい人生訓のよう
ここで各章の見出しを少しだけ引用してみます。
・上質なものが上質な生活をつくりだす
・上質なものは、使う人の品格を育てる
・いまや「清貧」が最大の「贅沢」
・空間を美しくすると、美人になる
・料理は知性と感性で。「知食」の勧め
・白の勧め。キッチンも食器もブラウスも
・自分のふだんの生活に合った上質な定番を見つける
・暮らしのなかで文化を楽しむという贅沢
・上質な時間をつくる。上質な自分をつくる
・美と健康と人柄は自分でつくる
いかがでしょうか? 女性が美しく生きる上での標語のように感じませんか?
まさに教養そのものであり、哲学のようでもあります。仕事にもプライベートにもアグレッシブなW2.0的女性にとっても、心を美しく整えるためのサプリメントは必要です。本書は気に入った見出しを探して、中身をランダムに読んでいくだけでも心が洗われ、気分が良くなってきます。そして、できそうなものを実践してみることが、美しく生きる第一歩なのかもしれません。
加藤さんは、長年インテリア・アーキテクトの仕事に携わるなかで、人とモノと空間のより良い関わり方をはじめ、衣食住がどのようにあれば幸せなのかを考えてきたそうです。その結論として導き出されたのが、「上質」と「シンプル」が人間にとって重要なテーマであるということ。
AIをはじめとするテクノロジーの発展がめざましい現代こそ、人間性の向上に再び注目が集められています。人は上質な生活を毎日繰り返すことで、人間性が向上すると加藤さんは力説します。「感性」という人間にとって最も創造的な部分が刺激され、豊かになるのであれば、確かにその通りではないかと思える本でした。