『幸せをつくるシゴト』 山川咲著/講談社…
【本日のアゲ本】相手の「YES」を引き出す、レトリック大全
『THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術』
ジェイ・ハインリックス 著 / ポプラ社
プレゼン、会議、提案書、報告、メール、電話……私たちは仕事をする上で絶えず、「相手に伝える」という行為を行なっています。物事を動かすためには、常に相手からのYESを引き出さなければなりません。その意味で、私たちは常に誰かを説得する仕事をしているとも言えるかもしれません。
つまり、相手をうまく説得することさえできれば、仕事の結果は自ずと付いてくるはず。そこで是非ともおすすめをしたいのが本書です。タイトルに冠されている「RHETORIC(レトリック)」とは、相手に自分の考えや思いをうまく伝える技術、あるいは、相手をうまく説得する技術、を表す言葉。古代ギリシア時代には既に一つの学問として成り立っていました。
本書はこのレトリックという学問を、徹底的に掘り下げ、わかりやすく実用的に解説したもの。レトリックに必要なスキルのすべてが載っていると言ってもいいほど、網羅的かつ詳細にまとめられています。
伝える技術のカテゴリは以下の4つに大別されます。
- 「攻め」の伝える技術 相手の心をつかむ
- 「守り」の伝える技術 相手の議論から身を守る
- 「攻め」の伝える技術応用編 相手を自然に動かす
- 大勢の人の心をつかむ技術
例えば、『1. 「攻め」の伝える技術』のパートでは、聞き手の心をほぐす方法として、アリストテレスが提唱した説得術をピックアップ。そして、「息子のジョージが7歳の時、真冬にどうしても半ズボンをはいて学校へ行くと行って聞かない」という具体的な状況で、アリストテレスの説得術を使ってどのように息子を説得したのかが仔細に語られます。さらに、家庭や職場でこのように試してみようという提案も添えてくれています。頭ごなしの理論や抽象的なテクニックではなく、とてもイメージしやすい具体に落とし込んでいるところがこの本のすごいところだと思います。
また、最後に「伝える技術 技法の一覧」が掲載されているのもユニークなポイント。もちろん、この技法や用語を暗記する必要はないと著者も言っていますが、議論に行き詰まった時や説得が難航した時に、パラパラと読めば何かしらの解決の糸口が見つかりそうなほど、バラエティに富んでいて充実しています。
仕事やプライベートで交渉や説得が上手くいかない、自分の思いが上手く伝えられなくて悩んでいる方は、是非とも購入されてみてはいかがでしょうか。非常にボリュームのある立派な本ですが、本棚に置いておけばコミュニケーションに困った時にきっと助けてくれるはずです。