【本日のアゲ本】令和を「多様な美しさが認められる社会」にしていきませんか

『美容は自尊心の筋トレ』

長田杏奈 著/ Pヴァイン(2019年)

この世にブスなどいない。あるのは多様な美しさのみ

私たち女性は、生まれたときから絶え間ない容姿への評価を受け続けています。物心つく前から「一重はかわいそう」「妹はかわいいのに」などと身近な人から容姿についてダメ出しされたり、比べられたりする。学校では容姿によって見えないカーストが出来上がり、美人はなにかと優遇される。ときには男の子からの心ない「ブス!」という一言に心がズタズタに打ちのめされることもあるでしょう。このように、私たちは容姿への残酷なまでの差別を受けて成長していきます。

成長すればしたで、状況はさらに過酷になります。20代の頃は「若くてかわいい女の子」であることを求められ、30を過ぎたらとたんに「おばさん」扱いされる。「こうあるべき」から外れた装いや振る舞いをすれば「イタい」などと揶揄され、おばさんとしての慎ましい振る舞いが求められる。こんな社会に生きる私たちは、自分の価値に対する他者からの評価を真に受け続けていたらまともな自尊心など保てません。

「私はかわいくない」「私はもうおばさん」……そんな呪いにかけられた女性を救ってくれるのが本書『美容は自尊心の筋トレ』です。美容ライターである著者の長田さんは、この世のすべての人に美しさを見出す筋金入りの「全員美人原理主義者」。美容ライターとして目と神経を磨き鍛えた結果、美の抽出精度が高くなったのだといいます。そして、この世にブスなど存在せず、あるのは多様な美しさのみだと言い切ります。

時代ごとに美の正解や美しいとされる平均値があり、そこからはみ出す特徴に対して人はコンプレックスを抱きがちです。けれども、コンプレックスは見方を変えればチャームポイントにもなります。エラのはった顔は「ゴツゴツした顔」ではなく「知的で意志的なフェイスライン」と言い換えることができるし、丸い鼻は「団子鼻」ではなく親しみやすさの源だと捉えることができます。ものは言いよう。コンプレックスを心ときめくワードに言い換えれば、それはあなただけの美しさになるのです。

本書はモテようとも若返ろうとも書かれていない、自分を好きになるための自主練方法が書いてある美容本です。令和を「多様な美しさが認められる社会」にしていきたいと思うなら、まずは自分の美しさを認めるところからはじめてみませんか。