毎日を忙しく過ごす女性にとって、時間はと…
【エッジーナの処方箋】WIN-WINな関係を築くスキル「アサーション」実践法
「上司や部下との関係がうまくいかない」「共働きなのに一方的に家事・育児の負担を強いられている」といった悩みを抱えている女性は多いでしょう。これらの悩みはすべて職場や夫婦間のコミュニケーションから生まれています。そして、コミュニケーションの問題の大半は、「言いたいことを言えずにためてしまう」もしくは「相手のことを考えずに一方的に自己主張する」ことから生まれます。
人間関係で悩む女性にぜひ身につけていただきたいのが、「アサーション」と呼ばれるコミュニケーションスキルです。アサーションとは「自分も相手も大切にする自己表現」のこと。ぜひアサーションのスキルを身につけ、自分も相手もWIN-WINになれるような関係を築いていきましょう。
〈目次〉
- 自己表現の3つのタイプ
- アサーティブな対応の実践例①家庭編
- アサーティブな対応の実践例②職場編
1. 自己表現の3つのタイプ
アサーションを学ぶうえでまず知っていただきたいのが、自己表現におけるご自身の傾向です。アメリカの心理学者ウォルピィが分類した自己表現の3つのタイプをご紹介しますので、自分がどの傾向にあてはまるか考えながら読み進めてください。
- 非主張型タイプ
このタイプの女性は、自分より相手を優先し、自分を後回しにする自己表現をします。引っ込み思案で自分に自信がない女性に多いタイプで、「言ってもどうせ分かってもらえない」と自己主張する前からあきらめていたり、「自分が我慢すれば丸くおさまる」と自分を軽視しがちなところがあります。ただし、表面上相手に合わせているだけなので、悶々とした気持ちや恨みがましい思いが残ってしまいます。
- 攻撃的・主張型タイプ
このタイプの女性は、まず自分を優先し、時には他者を踏みにじるような自己表現をします。プライドが高く自分が一番でありたい女性に多いタイプで、「私のほうが上」「正しいのは私」と相手より優位に立とうとするところがあります。人を傷つけることに無頓着なので、多くの人から嫌われたり、敬遠されたりしがちです。
- アサーティブなタイプ
このタイプの女性は、自分のことを考えながらも、相手に配慮した自己表現をします。自分の気持ちを率直に話しながらも、相手の反応や気持ちを尊重し、自己主張を無理に通そうとすることはありません。また、意見がぶつかった場合でも自分の意見をすぐに折るのではなく、互いに譲ったり譲られたりしながら双方が納得できる結論を出そうとします。
多くの人はどれかひとつのタイプだけにあてはまるわけではなく、状況や相手によって自己表現を変えています。「消極的・非主張型タイプ」もしくは「攻撃的・主張型タイプ」の傾向が強いと感じる場合は、アサーティブなタイプを目指すことでWIN-WINの関係を築きやすくなります。
2. アサーティブな対応の実践例①家庭編
仕事から帰宅後、妻であるあなたは食事の準備をしています。一方、夫はソファーに寝転び、テレビを見ています。あなたが心の中で「少しくらい家事を手伝ってくれてもいいのに。洗濯物くらいたたんでよ」と思っている場合、アサーティブな対応とはどのようなものでしょうか?
- アサーションのポイント:「Iメッセージ」で伝える
Iメッセージとは、「自分」を主語にして相手にメッセージを伝えることです。反対に、「相手」を主語にしてメッセージを伝えることを「Youメッセージ」といいます。
上記の例において、「テレビを見て暇があるなら、洗濯物くらいたたんでよ!」とYouメッセージで伝えた場合、夫は責められたと感じ、反発したくなってしまいます。
これをIメッセージで伝えてみましょう。
(例)
「お疲れのところ悪いのだけれど、食事の準備でいま手が離せないから、洗濯物をたたんでもらえると嬉しいな」
3. アサーティブな対応の実践例②職場編
上司であるあなたが部下へミスを指摘する場面を考えてみましょう。あなたは内心、同じミスを繰り返す部下へイライラしています。ただ、自分の指示の仕方にも問題があったのかもしれないと感じています。この場合、アサーティブなコミュニケーションをとるにはどうすればいいのでしょうか。
- アサーションのポイント:「DESC法」を使う
アサーティブに伝えるための型に「DESC法」があります。
・D…Describe (現在の状況、事実を伝える)
・E…Express(自分の気持ちを表現する)
・Specify(解決のための提案をする)
・Choose(選択肢を示す)
このDESC法を使って部下への伝え方を考えてみましょう。
(例)
「いつも仕事をがんばってくれてありがとう。ただ、最近同じミスが多いよね(D)。私の指示が分かりづらかったのは申し訳ないけれど、このままだとクライアントに迷惑がかかってしまうので、私も心配しているよ(E)。どうしたらミスが減らせるのか一緒に考えよう(S)。そうすれば、もっと周囲から信頼されるし評価もあがるんじゃないかな(C)」
以上、WIN-WINな関係を築くアサーションについてご紹介しました。アサーティブな対応は一見簡単に思えますが、実践しようとするとなかなか難しいもの。ぜひアサーションを日常の中に取り入れ、練習を重ねていってください。