【エッジーナの名言】ドリス・レッシング「ありのままの自分を取り戻したい。ただそれだけ」

 

ありのままの自分を取り戻したい。ただそれだけ”

ーードリス・レッシング

 

Doris lessing 20060312.jpg” by Elke Wetzig is licensed under CC BY-SA 3.0

 

ドリス・レッシング(1919-2013)

イギリス人作家 2007年ノーベル文学賞受賞者

 

ドリス・レッシングは、2007年ノーベル文学賞を受賞したイギリス人作家です。

 

「ありのままの自分を愛する」という考え方は「自己肯定感」という形で最近よく聞く言葉ですよね。以下、彼女の経歴を押さえ、この言葉の意味について考えていきます。

 

経歴

 

まずはドレス・レッシングの人生について見ていきましょう。

 

◇生まれは1919年のペルシャ

ドリスが生まれたのはペルシャ(現在のイラン)のケルマーンシャーでした。彼女が8歳だった1927年に、両親が南ローデシア(現在のジンバブエ)へ移住し、多感な成長期を農場で過ごしました。後に著作の中で「地獄のように孤独な育ち方だった」と回想していて、あまりよい思い出はなかったようですが、この頃の生活は後に彼女の作品のテーマの一つとなります。

 

◇作家として活動を始める

彼女は二度目の離婚を経て、1949年に「草は歌っている」(The Grass is Singing)の草稿を手にイギリスへ渡ります。この作品が人種的な抑圧や植民地主義を鋭く描いた作品として話題を生み、ドリスの本格的な作家活動が始まります。1962年に女性の自立、様々な差別などの社会問題を題材にした傑作『黄金のノート』(The Golden Notebook)を出版し、作家としての評価を確立しました。

 

◇ノーベル賞受賞

半世紀にわたってフェミニズムや、幼少期を過ごしたアフリカを叙情的に描いてきた作品が認められ、2007年にノーベル文学賞を受賞。史上最高齢の受賞として大きな話題となりました。

 

ありのままの自分を取り戻したい。ただそれだけ”

 

このようにドリスは作家として輝かしい成功を収めていましたが、自分の作品が間違った読まれ方をしたり、政治的な解釈を加えられることがあり、それについてはあまり喜んでいなかったようです。実際、彼女は有名になっていたにもかかわらず、作家名をあえて伏せて小説を発表するということもしていました。「ありのままの自分を取り戻したい。ただそれだけ」という言葉は、自分の作品が特定の先入観を持って読まれることを嫌っていた、人気作家の苦悩の言葉と言えそうです。

 

しかしドリスの悩みは、もしかすると、SNSなどを通じて多くの人々とコミュニケーションをとれるようになった時代を生きる私たちにも通じるものがあるかもしれません。一生懸命投稿したり、他人の投稿を読んだりしているうちに、ふと、「ありのままの自分」を見失っているように感じた経験はありませんか?

 

そのような時は、他人からどう思われるかを気にし過ぎている時なのかもしれません。他人を気遣う心はとても素晴らしいとはいえ、人との交流を通じて落ち込んでしまうようならば、ちょっと立ち止まってドリスの言葉を思い出し、「ありのままの自分を失っていないか」を考えてみるのがおすすめです。

 

参考)

英女性作家ドリス・レッシング、ノーベル文学賞受賞 写真19枚 国際ニュース:AFPBB News

https://www.afpbb.com/articles/-/2296443

英ノーベル賞作家ドリス・レッシングさん死去 94歳 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

https://www.afpbb.com/articles/-/3003457