【本日のアゲ本】 「出世」は最高の美容液。自由に、したたかに働く処世術

『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』 川崎貴子著/大和書房

女性マネージメントのプロが教える華麗な処世術

題名から、軽さとネガティブさが香る本書ですが、読んでみると実践で使えるアドバイスが満載です。著者の川崎さんは、これまでに1万人以上の働く女性たちをマネージメントしてきたプロ中のプロ。仕事において、女性が悩むポイントを57項目に分けて、前向きになれるアドバイスを送っています。

たとえば「男性社員が新入社員に甘いように感じてイライラします」という悩みに対し、「年下と張り合ってどうする!」と一喝し、女性にとって自分より若い子の出現は、重要なターニングポイントであると説きます。このようなときこそイケてる女性になれる、ブレイクスルーのチャンスであるとのこと。詳しくはぜひ本書を読んでいただきたいのですが、徹底的に女性目線で、女性に共感できるように書かれているところは、ファンの多い川崎さんならではです。

本書の魅力が伝わるよう、簡単に構成をご紹介します。

STEP1 メンタル編

「昔はかわいかったんだけど……」なオバさんにならない!

STEP2 キャリア編

「出世」は最高の美容液である!

STEP3 ライフ編

「仕事スキル」があれば、「妻」も「母」もうまくいく!

STEPごとに全部で57の悩みと解答および解説があり、自分に関係なさそうなものも読んでみると、その的確な指摘とアドバイスにグイグイ引き込まれて一気に読み進めてしまいます。

本書のいいところは、社会人2、3年目くらいから、管理職を目指す手前の人までを対象としているところ。ときには厳しいアドバイスもありながら、読んでいるうちに勇気づけられ、前向きになっている自分が発見できるはず。

また、悩み解決だけではなく、お局様になる危険性にも言及しているところにも注目です。たとえば仕事で出会う困ったおじさんも多いですが、その女性版とも言えるお局様にならないように、自分を客観視することはもっと大切ではないでしょうか。題名でも分かるように、長く働き続けることを推奨している本書ですが、一歩間違えると自分が周囲を困らせる可能性もあるという、双方向的な感覚をきちんと伝えているところにも好感が持てます。

よくある自己啓発本には、「管理職になろう」、「他人からの批判にはこう考えたら良い」などといったアドバイスが多いのですが、これまで読んだ本がしっくりこなかったのは、自分から見た他者とその対処法に終始していたからだと気づきました。さらにはキャリアを積む中で苦闘しながら、心のモヤモヤを自己処理するしかなかった本書の想定読者より上の年代の女性にとっては、「そうそう!」と読んでスッキリ!することも多く、我が身を振り返ることもあるのではないでしょうか。

「あのとき、くじけないで仕事を続けてきて本当に良かった」と思う人が増える、そんな本だと思います。