【エッジーナの名言】 ケイト・スペード「最も楽しいのは、家族や友人と仕事をすること」

“最も楽しいのは、家族や友人とできる仕事。でも、最も厳しいのは家族や友人と仕事をすることでもある”

ーーケイト・スペード

ケイト・スペード(1962-2016)

起業家、ファッションデザイナー

 

ケイト・スペードはニューヨーク発のファッションブランド「kate spade new york」の創設者。シンプルで洗練されたシルエットに、色鮮やかな生地のバッグは日本でも絶大な人気を誇っています。

キャサリン(ケイト)・ノエル・ブロスナンはミシシッピ州生まれ。アリゾナ州立大学でジャーナリズムを学び、卒業後はニューヨークに拠点を置く雑誌「マドモアゼル」のアクセサリー担当の編集者としてキャリアをスタートさせます。

バッグが大好きだったケイトは、仕事でもプライベートでも新作のバッグをくまなくチェックしていましたが、実はなかなか理想のバッグがないことに不満を感じていたました。

もっとスタイリッシュで洗練されたバッグが欲しいな

そんな悩みを打ち明けた相手は、当時の恋人で後の夫となるアンディ・スペード。すると、彼は「自分で理想のバッグを作ったらどうだい?」とブランドを立ち上げることを提案します。その言葉に勇気付けられた彼女は、すぐにマドモアゼル誌を退職し、ファッション業界に勤めるアンディと一緒に入念な準備を行い、1993年にkate spade new yorkを立ち上げます。設立時の資金はアンディが切り崩した確定拠出年金など、わずか3万5000ドルだったそうです。

彼女がデザインしたバッグは、シンプルでありながら、女性の心を掴む鮮やかな色合いや細かなギミックが施され、何よりも実用性に長けていました。この「使い勝手とお洒落」を見事に両立させたバッグは、まさに世の中の女性が本当に求めていたもの。kate spadeはすぐさま雑誌「Vogue」で大々的に紹介され、大ヒットブランドとなるのです。

1996年にはニューヨークのソーホーに初のショップをオープンし、1998年にはロスやボストンにもショップを設立。バッグ以外にもレインコートやパジャマ、シューズなどを展開し、夫となったアンディもメンズラインのジャックスペードをデザインするなど、夫婦の二人三脚でブランドは着実に成長していきます。

しかし、kate spadeは2006年11月、リズ・クレイボーン社に買収されます。当初はアンディとケイトもデザイナーとしてブランドに残っていましたが、2008年にkate spadeから去ることを発表。この先の人生を家族との時間を大切にしたいという思いからでした。

しばらく家族でゆったりとした時を過ごしていた二人ですが、2016年に娘の名前を冠したブランド「Frances Valentine」をアンディと共同で立ち上げ、昔の仕事仲間を呼び戻して、再びファッション業界にカムバックします。

しかし、新しいブランドも順調に成長し始めていた矢先の2018年6月5日、ケイトは55歳で自ら人生の幕を閉じました。アンディによると、実は数年前からうつ病を患っていたそうです。

最愛の人とブランドを育て上げ、晩年は昔の仕事仲間とも再会を果たし、最後までファッション業界で生き続けた彼女。家族や友人と仕事をすることの幸せを噛み締め、同時にその難しさも熟知していたのでしょう。グローバル規模のブランドでそれを続けてきたケイトならではの、とても重みのある名言だと思います。